痛みの定義【UG版】

この記事は、「痛みの定義」のUG(アップグレード)版となります。
※過去記事はこちらhttp://kanetaseikotsuin.com/2014/10/04/file1/

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「いまだに、患者さんが訴える腰痛などの痛みを詐病(疑ったりする)だとする医師がいる」という事実。

医療は進歩しているはずなのに、田舎町の医師は全く進歩していないようです。

世の中には「目の前の患者さんが少しでもラクになるように」と努力されている医師や研究者がたくさんいるのに、残念でありません。

進歩していない医師ほど、僕のような民間療法を提供している柔道整復師や整体師を馬鹿にしますが、IASP(国際疼痛学会)が2020年、41年ぶりに痛みの定義を改定したことを僕ですら知っているので、医療を提供している医師がそれを知らないとは言わせません。

1979年の定義では、An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage.「痛みは、実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表わす言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である」とされていましたが、2020年、An unpleasant sensory and emotional experience associated with, or resembling that associated with, actual or potential tissue damage.「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」と改定されました。

そして、付記として

  • Pain is always a personal experience that is influenced to varying degrees by biological, psychological, and social factors.
  • Pain and nociception are different phenomena. Pain cannot be inferred solely from activity in sensory neurons.
  • Through their life experiences, individuals learn the concept of pain.
  • A person’s report of an experience as pain should be respected.
  • Although pain usually serves an adaptive role, it may have adverse effects on function and social and psychological well-being.
  • Verbal description is only one of several behaviors to express pain; inability to communicate does not negate the possibility that a human or a nonhuman animal experiences pain.

  • 痛みは常に個人的な経験であり、生物学的、心理的、社会的要因によって様々な程度で影響を受けます。
  • 痛みと侵害受容は異なる現象です。感覚ニューロンの活動だけから痛みの存在を推測することはできません。
  • 個人は人生での経験を通じて、痛みの概念を学びます。
  • 痛みを経験しているという人の訴えは重んじられるべきです。
  • 痛みは、通常、適応的な役割を果たしますが、その一方で、身体機能や社会的および心理的な健康に悪影響を及ぼすこともあります。
  • 言葉による表出は、痛みを表すいくつかの行動の1つにすぎません。コミュニケーションが不可能であることは,ヒトあるいはヒト以外の動物が痛みを経験している可能性を否定するものではありません。

という6項目が加えられました。

日本語訳は日本疼痛学会によるものです。

「痛みは不快な(感覚かつ情動の)体験」であることがハッキリと記されています。

痛みは、レントゲンなど画像をみただけでは分からないし、医師の想像の範囲に収まるものでもありません。

そして痛みは個人の経験なので、医師の経験である痛みもあれば、患者さん「一人一人の痛み」も存在するわけです。

痛みを抱えながら日常生活をおくるのは、とてもしんどいことです。

そして、そのしんどさ(痛み)を医師が分からないのは、患者さんにとって地獄です。

患者さんが民間療法を頼るのが嫌なら、痛みのことをもっと知り、テーラーメイドな治療をしていただきたいです。

痛みの勉強をするなら小山なつ先生のサイト(書籍共に勉強させていただいています。ありがとうございます)
痛みと鎮痛の基礎知識Pain Relife

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