痛みを科学で語るなら、「細胞の興奮→脱分極(活動電位発生)」が一番最初ですよ。

痛みは、皮膚・筋膜・骨膜などで「感じる」訳ではありません。

痛みを感じるのは「脳」です。

痛みを感じる仕組みというのは、

1、受容体が、身体が傷つくような刺激(機械的侵害刺激)や熱・発痛物質(ブラジキニンなどの科学物質)などをキャッチする
2、受容器(高閾値機械受容器・ポリモーダル受容器)が、興奮して脱分極を起こす(情報を電気信号に変換する)

電気信号が起こる仕組みは

細胞は細胞膜と呼ばれる薄い膜につつまれていて、その細胞膜を境に「細胞内」と「細胞外」に分けられている。 この細胞内と細胞外には約100ミリボルトほどの電位差がある。
細胞の外と内がプラス極とマイナス極にわかれていて、約100ミリボルトほどの電位差がある状態の事を「分極」といいう。
細胞外にはナトリウムイオン(Na+)やカルシウムイオン(Ca++)、細胞内にはカリウムイオン(K+)が存在し、分極状態の時はこのナトリウムイオンとカルシウムイオンのバランスが保たれている。
だけど、なんらかの刺激が加わると、細胞膜の透過性が著しく変化してプラスの電荷をもったナトリウムイオンが細胞内に流れ込み、細胞内の電位は100ミリボルトほども上昇し、プラスの20ミリボルト程度に変動する。
このように、ナトリウムイオンが突発的に内部に向かって流れる状態、つまり細胞膜の特性変化を「細胞膜が興奮する」=「細胞が興奮する」と表現する。
この細胞が興奮し「活動電位」が発生している状態の事を「脱分極」と言う。

3、発生した電気信号は、Aδ線維、C繊維という末梢神経を通る。
4、脊髄後角に到達した電気信号は、シナプス変換された後、また電気信号に変換し直され、脳に送られる。
5、脳が、その電気信号を解読し、「お、この電気信号は”痛み”だな」ということで、はじめて「痛み」を感じる。

つまり、何を言いたいかというと

皮膚・筋膜・骨膜などを刺激しても、電気信号が発生(脱分極)しない限り痛みは出ない

ということです。

それは、見る・聞く・触られるでも同じことです。

神経が圧迫されたり、軸索を包む神経膜を引っ張ったリすると「痛み」が出るという情報を目にすることがありますが、そもそも、神経膜には機械的刺激に対する受容体が存在しないため情報をキャッチすることが不可能なので、電気信号が発生する訳がありません。

神経に注射針などの機械的刺激が加わった場合は、受容体が情報をキャッチする訳ではなく、「細胞膜に傷がついたことによって、細胞外のナトリウムイオン(Na+)が細胞内に流れ込んで、細胞の興奮→活動電位(電気信号)が発生するため」です。

正座などをしていて、足に「しびれ」や「痛み」がでるときの仕組みは、神経(神経繊維)の圧迫ではなくて、神経線維に栄養を送っている血管の圧迫です。

圧迫される

神経に血が送られにくくなる

ATP(神経細胞のエネルギー源)の合成が妨害されることで、細胞内外の物質濃度を調整できなくなる

電気信号の発生が抑えられるので、感覚が薄れる

圧迫がなくなると、血液が送られる➡ATPの合成が復活

狂っていた細胞内外の物質濃度を元に戻すために、頻繁に調整されることで、神経が異常に興奮する

調整が終わるまで、神経の興奮が繰り返されるので、その都度電気信号が発生し「痛み」「しびれ」が発生する

濃度の調整が終わると神経の異常な興奮が終わるので、痛み、しびれはなくなります。

これを踏まえると、いわゆる神経痛なんてものは神経の痛みではないことが分かりますよね。

神経繊維が圧迫を通り越して「絞扼(締め付けられる)」されまくると麻痺が生じます。

麻痺=感覚を感じない(感じにくい)・動かない(動かし辛い)ということです。

末梢で電気信号が発生しても中枢に信号が行き届かない(届きづらくなる)し、またその逆も起こります。

腰の神経の絞扼で有名なのは、馬尾症状(跛行・サドル麻痺・膀胱直腸障害など)です。

神経が傷ついた場合は、いわゆる神経痛ではくて、神経障害性疼痛(異所性発火やエファプスなどが起こるとされている)になります。

痛みそのものが病である「慢性痛症」という病態もあります。

その場合は、電気信号が発生しなくても痛みを感じると言われています。

なので、その慢性痛症など特殊な場合を除いて痛みの基本は

細胞が興奮して、電気信号が発生するかしないか

です。

筋膜の緊張や伸展がどうのこうのなんかは関係ありません。

筋膜が緊張しようが、伸び縮みしようが、痛みのもとになる各種刺激で脱分極(電気信号が発生)が起こり、その情報が脳に送られ、脳が解読しなければ痛みは感じません。

なので、痛みの施術を行う場合、それを神経科学で判断するならば

なにが原因となって受容体刺激されて電気信号でたの??

になります。

身体が傷つくような機械的刺激なのか
炎症によって起こる刺激なのか
組織の酸欠によって発痛物質(科学物質)濃度が高くなったのか

が主だと思います。

機械的刺激なら、その刺激を取り除く必要があります。

炎症なら、炎症の原因を突き止めて、手を打つ必要があります。

組織の酸欠によって発痛物質(科学物質)濃度が高くなってるのなら、交感神経活動の興奮が起こり、血管などが収縮して、血流が悪くなってる原因を突き止めて、そこに手を打つ必要があります。

自律神経系のバランスが崩れ、交感神経活動の興奮が起こることには色々なことが考えられます。

食事(栄養)
睡眠
オーバーワーク
運動不足
怒りなどの感情
悩み(思考)
環境
いわゆるストレス
薬の飲み過ぎ

などです。

同じことを何回も書くことになりますが、痛みの施術を行う場合、それを神経科学で判断するならば

なにが原因となって受容体刺激されて電気信号でたの??

になります。

かねた整骨院

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