腰椎分離症 ~子供の為には「つけられた診断名」にとらわれず、今後を決めることが大事です~

腰椎分離症は、腰椎関節突起間部(pars interaticularis)に起こった疲労骨折が分離したものです。

基本成長期の子供の病気であって、大人になってから発症することはないと言われています。

自覚症状としては

◇長く同じ姿勢をしていると腰が痛くなる
◇腰を後ろに反らせる、立ち座り動作、歩く、同じ動作を続けるのがつらい

などがあります。

成因としては

◇関節間部への機械的ストレスの繰り返し
◇成長期にスポーツを素因として生じることが多く、その本体は疲労骨折など
◇激しい腰のひねりや強い前背屈が原因になる事が多い

と言われています。


ですが、「なぜ痛いか」について今はエビデンスが確立していません。

施術をしていて不思議なのは、分離症と診断された多くの患者さんから

「腰が痛くなったので病院でレントゲンやMRIで調べたら、分離症と言われた。でも、動いたり、長い間座ってると痛むけど、安静にしてると大丈夫」

と話を聞くことです。


分離するきっかけはの多くは疲労骨折です。

なので、痛みが出た場合は他の部分の骨折と同じなので、分離する前に骨折の痛みが出て、その時点で病院に行くはずです。

だって、ヒビ入っただけで結構痛みます。なにせ骨(骨膜)に炎症が起こってるんですから。

なので、「夜寝てても、色々態勢変えても痛むので病院行って調べたら疲労骨折してました」なら分かるのですが、分離するまで痛みに気づかないのは変ですよね。



終末期になり、コルセットでいくら固定しても絶対に骨がくっつかない偽関節になってしまった場合、分離部・偽関節部を包む関節包と隣り合わせの椎間関節(facet joint)の滑膜炎が起こってしまう場合があると言われていています。

炎症の痛みです。

その場合は、「膝に水が溜まって痛む」のと同じなので、水を抜いてステロイドを入れると痛みが楽になります。

膝に水が溜まって痛むのと同じだから、「水の中の痛みを伝える化学物質の濃度が高い」状態なので、水が溜まっていても濃度が低ければ痛むことはないということになりますから、これも分離したものの痛みではないですよね。

つまり、なにを言いたいのかというと、

「分離症は、画像に映し出された構造につけられた名称であって、腰痛の原因は筋肉など軟部組織からのものではないか」

ということです。

炎症が原因の痛みは、ホントしんどいですよ。安静にしててもズクズク病んできます。

でも、分離症と診断された方の多くが感じている自覚症状は

◇長く同じ姿勢をしていると腰が痛くなる
◇腰を後ろに反らせる、立ち座り動作、歩く、同じ動作を続けるのがつらい

です。

炎症の痛みには見えません。

分離症の場合は知らない間に痛みがとれていることがあると言うし、プロ選手の3割が分離症だけど、分離症になっているからと言って必ずしもパフォーマンスが低下している訳ではない。

高校生を対象にした研究でも、分離症を持っている学生の方が成績が良かったという報告もあります。

■画像所見と非特異的腰痛に関する体系的レビューを実施した結果、X線撮影で確認できる異常所見(脊椎分離症・脊椎辷り症・潜在性二分脊椎・腰仙移行椎・変形性脊椎症・ショイエルマン病)と非特異的腰痛との間に関連性は認められない。http://1.usa.gov/PVQhW8

■脊椎分離症または脊椎分離辷り症のあるアスリートを、約5年間追跡調査した結果、連日の過酷なトレーニングにもかかわらず、症状を訴えた者は皆無。 若者にアスリートの道を諦めさせたり、激しい運動をさけさせたりする必要性はない。http://1.usa.gov/NJNbpB

■腰痛患者200名と健常者200名のX線写真を比較した結果、脊椎辷り症、腰仙移行椎、潜在性二分脊椎、椎間狭小、変形性脊椎症、脊柱側彎症、前彎過剰、前彎減少、骨粗鬆症、シュモール結節、圧迫骨折、骨盤傾斜の検出率に差はない。http://1.usa.gov/jb0ly3

■18~50歳までの腰痛患者807名と健常者936名を対象に、腰部X線撮影で脊椎分離症の検出率を比較した結果、腰痛患者群は9.2%、健常者群は9.7%だった。脊椎分離症が腰下肢痛の原因と考えるのは非論理的。http://1.usa.gov/j2Jw5a

という研究報告もあります。

初期の疲労骨折が見つかった場合は、オーバーワークなので、骨を回復させるためにも安静が必要です。

終末期の滑膜炎(濃度が高い場合は痛む)は、炎症を抑えるための治療が必要になりますので、病院で適切な治療を受けたほうがいいです。

でも、それ以外の症状なら、

筋肉の疲労(過度の緊張・オーバーワーク)

血流悪くなる

発痛物質濃度高い

痛む
(閾値の低下により痛みに敏感になると、些細なことでも痛むようになる)

なので、筋肉を弛めて、血流を改善する養生を行いながら、無理のない、自分で出来る範囲で動かすことが大事だと思います。

筋肉も関節も、動かさないでいると緊張して固まりますから、適度に(自分に合う)動かすのは大事なんです。

部活やスポーツをどうしていくかを決めるときも、「画像診断の結果」「つけられた診断名」にとらわれず、「痛み」を理解して今後のことを決めることはとても大事なことですし、結果、良い方向に向かいます。

金田

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