腰椎分離症【UG版】~腰の疲労骨折~

※過去に書いたものとエビデンスに追加したアップグレード版となっています。過去記事とエビデンスは最後の方に書かれています。

~ここからUG版となっています~

腰椎分離症ですが、これは病院に行ってレントゲンを撮ったとき、腰椎斜位像で椎弓といわれる、腰椎の後ろの部分の神経を取り巻く薄い板状の骨の部分が骨折しているのがレントゲン写真に写っていたからついた病名です。(※画像は松田整形外科記念病院様サイトからお借りしました)

ですが、レントゲンを撮っても分からないヒビ(疲労骨折)が、MRI検査では白く映る(初期)ことがあり、そこからヒビが広がったり(進行期)、完全に分離(終末期)しないうちに発見できるようになったことから、今は「腰の疲労骨折」という名前が使われています。

スポーツで腰を反らしたりひねったり(回旋運動)を繰り返すにより起こる(発生率5%)といわれており、レントゲン写真よりもCTで確定診断を行います。

治療は、初期では原因となった動き(腰を反らせたりひねったり)を制限するコルセットを3~6ヶ月装着します。

小学校高学年で早期に発見できれば骨がくっつく確率は90%とも言われています。ですが、中高校になるとその確率は徐々に低下していき、進行期(ヒビが広がっている)には60%、終末期(完全に分離)ではほぼ0%と言われています。

ですが、骨がくっついてもくっつかなくても、しっかりコンディショニングを整えれば、腰の痛みは治り、腰に痛みのない状態で、今まで通りスポーツを行うことができます。

スポーツをやっていて急に腰が痛くなったり、腰を反らせたりひねったりしたとき左右差のある痛みが1か月以上続く場合は、腰の疲労骨折を一番に疑って、早いうちに病院でMRI検査を受けることをお勧めします。

腰の疲労骨折の発生には、体の柔軟性も影響する(特に、ハムストリングスの硬い人が多い)と言われています。

治療のためにコルセットをしていても運動は全く禁止するわけではありません。

腰の痛が落ち着いたら、早めに体幹や固定されていない胸椎・胸郭のストレッチ、大腿四頭筋、腸骨筋、お尻の筋肉など股関節周り、ハムストリングのストレッチなどでコンディションを整えましょう。

~ここからは、分離症についての過去記事です~

腰椎分離症、腰椎関節突起間部(Pars)の疲労骨折。

基本成長期の子供の病気であって、大人になってから発症することはないと言われている。

「なぜ痛いか」について今はエビデンスが確立していない。

初期は疲労骨折なので痛みはほかの部分の骨折と同じ。

終末期になり、コルセットでいくら固定しても絶対に骨がくっつかない偽関節になってしまった場合、分離部・偽関節部を包む関節包と隣り合わせの椎間関節(facet joint)の滑膜炎が起こってしまう場合がある。

その場合は、「膝に水が溜まって痛む」のと同じなので、水を抜いてステロイドを入れると痛みが楽になる。

膝に水が溜まって痛むのと同じだから、「水の中の痛みを伝える化学物質の濃度が高い」状態。

ということは、水が溜まっていても濃度が低ければ痛むことはないということになる。

分離症の場合は知らない間に痛みがとれていることがあると言うし、プロ選手の3割が分離症だけど、分離症になっているからと言って必ずしもパフォーマンスが低下している訳ではない。

高校生を対象にした研究でも、分離症を持っている学生の方が成績が良かったという報告もある。

初期の疲労骨折と終末期の滑膜炎(濃度が高い場合は痛む)じゃなければ、気にしすぎる必要はないし、しっかりコンディション整えて早めに競技に復帰していいのではないかと思う。

~ここからは、腰椎すべり症、分離症のエビデンスです~

◆脊椎分離症または脊椎分離辷り症のあるアスリートを約5年間追跡調査した結果、連日の過酷なトレーニングにもかかわらず症状を訴えた者は皆無だった。若者にアスリートの道を諦めさせたり激しい運動をさけさせたりする必要はない。http://1.usa.gov/NJNbpB

ハンドボール、バスケットボール、バレーボール、体操選手、陸上選手を対象とした研究です。脊椎分離症または脊椎分離辷り症のある一流バレエダンサーも腰痛発症率に差はないことが明らかになっています。分離症や辷り症を恐れる必要はありません。

 ・脊椎分離症または脊椎分離辷り症のあるアスリート86人( 6~20歳 男性62人女性24人)約5年間追跡調査した結果、連日の過酷なトレーニングにもかかわらず症状を訴えた者は皆無だった。若者にアスリートの道を諦めさせたり激しい運動をさけさせたりする必要はない。http://1.usa.gov/NJNbpB

これはハンドボール、バスケットボール、バレーボール、体操選手、陸上選手を対象とした研究ですが、脊椎分離症または脊椎分離辷り症のある一流バレエダンサーも腰痛発症率に差はないことが明らかになっています。分離症や辷り症を恐れる必要はありません。

・若いアスリートの腰痛は脊椎分離症が原因と思われがちだが、4243名を対象としたイタリアの研究では13.5%、 3152名を対象としたスペインの研究では8.02%でしかない。http://goo.gl/duFR7W   http://goo.gl/LyE5jU

これは一般的な腰痛患者における脊椎分離症の頻度と変わりませんし、このような画像検査で確認できる異常が患者の症状と相関するわけでもありません。したがって、トップアスリートの腰痛だけは特別だというわけではないのです。

・現在のX線所見の報告書(椎間板変性・分離症・分離辷り症・二分脊椎・腰仙移行椎・ショイエルマン病)は患者を不安にさせ、不必要な活動制限や思い込み、不必要な治療へと追い込む恐れがあるため、挿入文を追記することを推奨する。http://1.usa.gov/X086so

・画像所見と非特異的腰痛に関する体系的レビューを実施した結果、X線撮影で確認できる異常所見(脊椎分離症・脊椎辷り症・潜在性二分脊椎・腰仙移行椎・変形性脊椎症・ショイエルマン病)と非特異的腰痛との間に関連性は認められない。http://1.usa.gov/PVQhW8

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