蒸しタオル(ほっとタオル)などのホットパックについて、物理療法の面から書きました。
お家で簡単に温めることができる、蒸しタオル(ほっとタオル)などのホットパックについて、物理療法の面から書きました。
※「子どもが負傷したとき家でケアする方法6 温める」はこちらから
蒸しタオル(ほっとタオル)などのホットパックは、病院のリハビリなどで行われている物理療法のなかで温熱療法と言われています。
その温熱療法を分類すると、熱の移動形態、深達度、エネルギー形態でそれぞれ異なってきます。
蒸しタオル(ほっとタオル)などのホットパックを分類すると
●熱の移動形態
伝導
●熱の深達度
表在性
●エネルギー形態
熱
となります。
●熱の移動形態とは
「温度の異なる物質(より温かい物質と、より冷たい物質)が、直に接することによって起こる熱の移動のこと
●深達度とは
「熱がどこまで深く伝わるか」の度合い
●エネルギー形態とは
「何がエネルギーの基になるのか」です。熱以外には光、電磁波、音(超音波)があります。
生理学的な効果は全身反応と局所反応に分かれていて、それぞれ
●全身反応
体温調節機構、温度受容器、呼吸・循環作用
●局所反応
代謝機能の変化、末梢血管反応、神経・筋・結合組織(コラーゲン繊維)・免疫システムに対する影響
となります。
効果的な温熱エネルギーの与え方
物理療法上では「組織温度が痛みに耐えられるレベルよりもわずかに下がった点で最大に達して、その後治療レベルで望ましい時間にとどまるように保つこと」となっています。
組織温度が痛みに耐えられるレベルは43℃(45℃)以下
●43℃(45℃)以上の熱は痛みとして認識される
●地表に生息する動物の細胞は42.5℃以上の温度に長時間さらされると細胞死する
この2つが理由と言われています。
望ましい時間
蒸しタオル(ほっとタオル)に当てはめると15分から30分
効果
【血流】
●体性ー内臓(自律神経)反射による血管の拡張
●軸索反射による血管の拡張
●表層皮膚静脈の弛緩
※つまり血流が増える
【末梢神経】
●神経の伝導は「温度に依存」しているので、温度が低下すると信号の伝わり方は遅くなり、6~7℃では伝わらなくなる(神経伝導ブロック)
●温度が高くなると信号の伝わり方は速くなりますが、40℃以上の温度になると遅くなる(熱麻酔)
【筋などの軟部組織と関節】
筋肉が弛み伸びやすく、関節の動きもよくなる
【筋力・筋持久力】
●筋肉内温度を安静時より3℃上昇させると筋力も上昇する
●温度が低くなると1℃低下するごとに2~5%筋力が低下する
●筋持久力は、温めると低下し、冷やすと向上する
※筋肉の温度が高くなると筋力はアップするけど持久力は低下し、筋肉の温度が下がると筋力はダウンするけど持久力は上がるということ
【内臓】
●体性ー自律神経(内臓)反射の影響を受ける
●侵害刺激(温かいではなくて痛い!)を加えることで交感神経系が優位になる
●非侵害刺激(温かくて気持ちがいい)で交感神経活動が抑えられ血流が改善
※温熱刺激の加え方で、内臓を整えることができる
以上になります。