腰痛の予防

その16 【腰痛の予防】
平成22年度 厚生労働省 国民生活基礎調査、自覚症状男性で第1位! 女性で第2位!!の腰痛。(ちなみに女性の1位は「肩こり」)
19年度に続いて首位をキープしてるなんてよっぽどだな。
腰痛になると気分は落ち込むし、痛くて動きたくないしいいことないから、出来るなら再発を予防したいって思っている方もすっごく多い。
けど、腰痛の予防ってできるのかな?
そもそも腰痛の発症・再発・慢性化の要因はyellow flags(心理社会的因子)って言われている。
昔は慢性状態の方に指導すればよかったけど、今はぎっくり腰のような「急性腰痛」の段階から、しっかり指導したほうが良いってことになってるくらい重要。
「痛み」
「活動に対する誤解」
「痛み行動」
「抑うつ・不安」
「不適切な治療」
「疾病利得」
「補償問題」
職場・職務問題」
「家族や社会的支援過多・過少」
これを治療や施術だけでなく再発予防のときも、これらをすべてひっくるめて考えないといけないってことだ。
でも一般的には「物の持ち方」「姿勢」などの指導で腰痛を予防しようとしてるけど、それは本当に効果的なのか、今回もエビデンスをみて考えてみよう。
◆この50年間、生体力学に基づく人間工学的アプローチによって腰にかかる負担は大幅に軽減されてきたが、腰痛患者が減少したという証拠はひとつも存在しない。それどころか腰痛患者は年々増加し続けている。腰を守ろうとするのは逆効果。http://1.usa.gov/mcgEVI
うん、確かに平成22年度の国民生活基礎調査の有訴者率(自覚症状)男性で第一位、女性で第二位だし、男性に関しては平成19年度より増えてるしな~。
◆職場における腰痛予防に関するRCT(ランダム化比較試験)を分析した体系的レビューによると、職場での運動は腰痛の予防に効果的だったが、コルセット(サポートベルト)や生体力学に基づく教育的介入は腰痛を予防できないことが判明。http://1.usa.gov/sJTnPJ
◆荷役作業従事者の腰痛予防をテーマにしたRCT(ランダム化比較試験)とコホート研究を分析した体系的レビューによると、重量物の持ち上げ方に関するアドバイスやサポートベルトに腰痛予防効果はなく腰痛による活動障害も欠勤も減少しないと結論。http://1.usa.gov/sDGpce
◆荷役労働者の腰痛予防と治療に関する9件のRCT(20,101名)と9件のコホート研究(1,280名)をレビューした結果、手作業運搬訓練やアドバイスが腰痛の予防や治療に有効だというエビデンスは存在しないことが判明。http://1.usa.gov/uKcAsk
なるほどなるほど。
◆腰痛患者200名と健常者200名のX線写真を比較した結果、腰痛患者の30%に脊柱側彎症が、1%に前彎過剰が、22%に前彎減少が見られ、健常者の45.5%に脊柱側彎症が、2.5%に前彎過剰が、22%に前彎減少が見られた。http://1.usa.gov/jb0ly3
◆1985年~1997年に発表された座業と腰痛に関する論文の体系的レビューによると、座業が腰痛のリスクファクターであるというエビデンスは見出せなかった。座りっぱなしの仕事が腰痛と関連するという世論の裏付けは存在しない。http://1.usa.gov/shb6dx
「座りっぱなし=腰痛の原因」では無いってことだな。
◆職場における腰痛予防に関する31件の比較試験を分析した体系的レビューによると、運動は腰痛による欠勤、医療費、発症率を減少させ、従業員の腰痛予防に有効であることが判明すると同時に、集学的介入には疼痛軽減効果が確認された。http://1.usa.gov/savytC
◆老人専門病院のナースを対象に運動プログラムの腰痛予防効果を調査したRCT(ランダム化比較試験)によると、13ヶ月後の腰痛による欠勤日数はトレーニング群で28日、対照群で155日だった。運動には腰痛を予防する効果がある。http://1.usa.gov/OOV5d3
◆3つのビスケット工場を対象に心理社会的教育パンフレット(腰痛に対する恐怖心を打ち砕く内容)の有効性を1年間にわたって追跡調査した結果、教育パンフレットを使用した工場は腰痛発症率と欠勤日数が大幅に減少したことを確認。http://1.usa.gov/VPdkFb
◆腰痛患者161名を時代遅れの小冊子群と新たな腰痛概念に基づく小冊子群に割り付けて1年間追跡したRCT(ランダム化比較試験)によると、新たな小冊子群は動作恐怖が低下すると共に回復が早いことが判明。従来の考え方を改めるのは有効な治療法である。http://1.usa.gov/mP29eM
腰痛を予防するためには、まずは腰痛に対する正しい新しい情報や知識を仕入れて古い考え方を変えて、腰に自信をもって生活するのが一番で、適度な運動(何をするかは自由)も良いですよってことだな。
そんなに予防予防って心配し過ぎない方がいいね。
心配して腰に意識を持って行き過ぎると、それがyellow flagsになっちゃう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

痛みの勉強file

前の記事

痛みの悪循環