痛みがスムーズに治る人と、なかなか治らない人の違い

こんにちは。

金田です。

皆さんを悩ませる腰や肩の痛みは患部ではなく「脳」で感じています。

その脳で感じる痛みには、痛いという感覚だけではなく、情動・認知的側面が関係していることが分かってきています。

そして、スムーズに治る人となかなか治らない人の違いには、痛みの認知・情動的側面が深く関与している可能性があることが分かってきています。

そこを分かってもらうことも大切なので、今回は、スムーズに治る人と治らない人の違いを、痛みの感覚・知覚・認知・情動の側面から書きたいと思います。

かねた整骨院

感覚とは

ネットの辞書をみてみると、 「外界からの光・音・におい・味・寒温・触などの刺激を感じる働きと、それによって起こる意識」となっています。

もう少し詳しく説明すると、外の環境(外界)や身体の中に起こった刺激によって、それぞれに対応する受容器が興奮し電気信号が発生して、痛覚なら体性感覚野、聴覚なら聴覚野といった脳の関連領域に情報が伝わり、それが意識にのぼった体験のことです。

感覚は基本的には意識にのぼった程度になります。

その感覚が、「どんな性質なのか」「何であるかと」いう情報処理の過程は含んでいません。

知覚とは

知覚もネットの辞書をみてみると、「感じ取った外界の刺激に意味づけをするまでの過程」となっています。

感じ取った外界の刺激というのは、先に説明した「感覚」のことです。

例えば、手で何かに触ったとき、その情報は触圧覚の受容器の興奮によって、情報は脳に伝えられます。脳は伝わった情報に基づいて、手で触れた何かが、「固いか」「柔らかいか」「ツルツルなのか」などといった性質を弁別する機能のことになります。

認知とは

Wikipediaには、「人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のこと」と書かれています。

いくつかの知覚を統合した後に、その知覚されたものが「何であるか」や「どこにあるか」などを判断したり解釈したりすることです。

感覚・知覚だけで認知されている訳ではなく、言語・記憶などといった機能の付与と統合が必要になります。

例えば「こんにゃくを指で触った」とき、

感覚・・何かに触れたという意識

知覚・・触れた何かが「柔らかい」「ヌルヌルする」「湿っている」などを弁別

認知・・脳に蓄積されてい過去情報(記憶や言語など)から、それが「こんにゃく」であり、食べられる物体だと判断

ということになります。

情動とは

Wikipediaでは、

  • (心理学用語)怒り、恐れ、喜び、悲しみなど、比較的急速に引き起こされた一時的で急激な感情の動きのこと。
  • 比較的短期の感情の動き。

と説明されています。

もう少し説明すると情動は、「怒り、恐れ、嬉しい、悲しいなどという感情を表す言葉が言語化される前の反応」になります。

例えば怖い体験をしたとき、怖いという感情が意識化される前に、ドキドキしたり呼吸が早くなるなどの生理学的反応がでますが、それを情動と言います。

つまり、

・情動は、動機や呼吸困難などの生理学的反応を伴う心身反応

・感情は、情動が意識化(言語化)されたもの

になります。

痛みの情動ですが、痛み=警告信号なので、痛みの情動反応は「警告反応」になります。

傷めたところから痛みの情報(警告信号)が、情動と関係する島皮質、偏桃体、海馬、前帯状回に伝わってきたとき、回避や攻撃などの警告反応が引き起こされることになります。

痛みの経路

痛みが伝わる経路には

  • 痛みの感覚に係わる経路(特に急性痛に関与)
  • 痛みの情動に係わる経路(主に慢性痛に関与)

があります。

感覚系は、受容器からの情報が体性感覚野に伝わり、身体の部位別に痛みが再現される経路です。

情動系は、受容器からの情報は、島皮質、前帯状回、偏桃体、海馬など大脳辺縁系に伝わり、最終的には前頭前野まで伝わる経路です。

2つの経路は完全に分かれているわけではなく、最終的には感覚・情動2つの経路が統合されて、痛みの認知的側面が生まれると言われています。

痛みが治るとき

痛みが治るとき、感覚と情動2つの経路で伝わった「痛い」という情報は、身体に備わっている鎮痛システムの働きによって収まります。

スムーズに治る人は、例えば、感じている痛みを10、痛みが治った状態を0とすると

感覚10  情動(認知)10

   9         9

   8         8

   :         :

   0         0

という感じで、感覚・情動とも0になります。

ですが、なかなか治らない人の場合は、感覚系で伝わった痛みは治まりますが、情動(認知)系で伝わった痛みは、ある期間(10週といわれている)を境に下がらず、なぜかわかりませんが、また興奮していきます。

例えると

感覚10  情動(認知)10

   9         9

   8         8

   :         7

   0         8

             9

            10

こんな感じです。

これが、痛みがスムーズに治る人と、なかなか治らない人の違いになります。

まとめ

今回は、痛みがスムーズに治る人と、なかなか治らない人の違いを、痛みの感覚、知覚、認知、情動という脳の中の仕組みから書いてみました。

なかなか治らない場合、患部へのアプローチの仕方が間違っている場合もあります。

ですが、患部に適切なアプローチをしているにもかかわらず治らない場合は、痛みの情動(認知)的側面が関与している可能性が高いので、

  • 一旦、患部に原因を求めるのをやめる、
  • 「自分は慢性痛である可能性が高い」ことを認識する、
  • 痛みに詳しい医師(痛みセンターなど)に相談する
  • 集学的・学際的アプローチを活用する
  • 認知行動療法(心理療法)、運動療法(エクササイズ)などでセルフマネジメントを行う
  • 痛みをとるよりも、日常生活動作(ADL)と生活の質(QOL)を高めることを目指す

にシフトした方がいいです。

整骨院や整体などの民間療法を活用する場合も、「○○療法で治る!」とうたっているところよりも、

  • 痛みの仕組みに詳しい
  • セルフマネジメントやコンディショニングをサポートしてくれる

施術者(治療院)に相談した方がいいです。

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