子どもが負傷したとき家でケアする方法7 オスグッド・シュラッター病その1

「子どもが負傷したとき家でケアする方法シリーズ」では、スポーツ少年団や部活動中に子どもが負傷してしまったとき、各家庭で子どもさんのケアをするための方法をお伝えしていきます。

今回は、「オスグッド・シュラッター病」について、その1で病態や発症要因などを説明し、その2で家庭でのケアの仕方を説明していきます。

今回はその1となります。
※一部の画像などは、陸上ケアセミナーでもお世話になった松田整形外科記念病院様サイトのものを使用させてもらいました。

オスグッド・シュラッター病(0SD)は1903年に「発育期の活発な子供の膝に発生する外傷性の良性障害で、膝蓋腱の牽引力による脛骨粗面の剥離である」と報告されました。

◆病態と発症要因

発育期における運動ストレスが膝蓋腱付着部の脛骨粗面部に集中し、脛骨結節の骨化核および硝子軟骨が部分的に剥離骨折を起こした状態です。

OSDの発症には脛骨粗面の発育過程が大きく関与しています。脛骨粗面の骨化過程は、脛骨近位骨端部が前方へ発達し、脛骨粗面部の二次性骨化核が出現、脛骨近位の骨端核と癒合して舌状突起を形成、その後両骨端核が癒合して骨化が完成します。

脛骨粗面部の発育過程は
1.The cartilaginous stage:骨化核の出現前(10才以前)
2.The apophyseal stage:舌状部に骨化核が出現する時期(10~11才頃)
3.The epiphyseal stage:脛骨結節の骨化が脛骨骨端に癒合しているが、脛骨結節の表層は軟骨で覆われている(13~15才頃)
4.The bony stage:骨端線閉鎖(18才頃)

と4期に分類されています。

脛骨粗面部が軟骨や骨化核で形成されている時期は、膝蓋腱(膝蓋靭帯)と繊維軟骨で結合しており、力学的に脆弱な部位なので、スクワット、ランニング、ジャンプの繰り返しにより膝蓋腱の牽引力で脛骨粗面部に剥離をおこります。

発症誘因として、発育急進期に膝周囲における骨の長軸成長と筋、腱の伸張のバランスのくずれがあげられます。大腿骨と脛骨の長軸方向の成長は約70%が膝関節部で起こるため、大腿四頭筋の緊張が高まり柔軟性が低下することにより脛骨粗面部へのストレスが増大します。

発育急進期は男子で13才、女子で11才前後であり、発育急進期の時期に多く発症しています。

OSDは思春期スパートの立ち上がりから身長最大発育量年齢後の期間に多く発症しています。

病気の進行程度により画像診断では、
初期:限局性透亮像(部分的に黒く映る)
進行期:分離、分節像
終末期:遊離体像
に分けられています。

以上が病態と発症要因になります。

まとめますと、オスグッド・シュラッター病は、一般的に「膝の成長痛ですね」で片づけられ多くの人は軽視していますが、「剥離骨折」だということです。

その剥離骨折がどこで起こっているかというと、成長時期により違いはありますが、骨化核という、軟骨でできた骨の原型となる部分(ちなみに骨端核は成長軟骨・骨端軟骨の中心にできる骨となる核のこと)、そして硝子軟骨という関節軟骨、骨端板、肋軟骨、気管軟骨、喉頭軟骨などを構成する軟骨で起こるということです。

硝子軟骨の基質はゲル状であり、その約70%は電解質を含む水分で構成されていて、血管、リンパ管、神経を有さないのが特徴で、厳密な意味での炎症は起こりません。

運動時の痛み、ひどいときには安静時の痛み、脛骨粗面部に膨隆、圧痛、熱感があるのが特徴となります。

お家でケアする場合は、「剥離骨折・結合組織」この2つを考える必要があります。

今回は、オスグッド・シュラッター病について病態や発症要因などを説明しました。

次回、「オスグッド・シュラッター病その2」では、実際に家庭で行うケアの仕方を説明していきます。

かねた整骨院

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