腰が痛くなった時、コルセットをした方がいい?しなくて大丈夫?
最近、あまり腰にコルセットをしている方をみなくなりましたが、「腰痛とコルセット」について質問されることは多いので、今回は「腰が痛くなった時、コルセットをした方がいい?しなくて大丈夫?」というテーマで書いてみます。
まずは、腰痛とコルセットに関する有名な研究をみてみましょう。
◆空港貨物部勤務の312名を対象に、荷物の持ち上げ方に関する教育群、コルセット+教育群、コルセット群、非介入群に割り付けて6ヶ月間追跡したRCTによると、4群間の腰痛発症率と腰痛による欠勤日数に差は認められなかった。http://1.usa.gov/pAUFtW
◆小売店の資材運搬担当者9,377名を対象とした6ヶ月にわたる前向きコホート研究によると、腰部サポートベルト毎日装着群、週1~2日装着群、非装着群の3群を比較した結果、腰痛発症率も労災申請件数も減少しなかった。http://1.usa.gov/q7mNYQ
小難しく書かれていますが、コルセット、してもしなくても変わらないよということが書いてます。
「楽だし安心だから着けてたいけど、長く着けてると腹筋背筋弱るっていうからそれも怖いんだよね」と心配される方もいらっしゃいますが、この悩みにかんしても以下のように「長く着けてても、腹筋背筋弱ることはないよ」という研究報告があります。
◆腰部コルセットやサポートベルトの装着で腰痛を予防できないのは明確だが、これまで考えられていたように長期間の装着によって腹筋力や背筋力の低下を招く危険はない。腰部コルセットやサポートベルトはリスクもベネフィットもない。http://t.co/gexF0X8
要するに、「着けてる方が楽だし安心ならそのままの生活スタイルで大丈夫だし、邪魔なら無理して着けなくても大丈夫」ということです。
まだまだ完全には解明されていない腰痛とコルセットの関係性ですが、医師のいいなりのまま苦しい思いをしてまでコルセットする必要はないですし、これまで常識とされてきたものを信じそれに従い怯えながら生活する必要はないですね。
ちなみに、腰痛科学の分野では、腰痛になったり治りを遅らせる要因は「心理社会的要因(yellow flags)」だと言われています。※yellow flagsについてはこちらをどうぞ
「腰の痛みに注意を集中する」「自分の腰に自信を持てず、不安や恐怖がメインになってる」など、そのような思考や感情の状態が長く続く方が、身体の回復を遅らせることに繋がってしまうことが多いので、「コルセットをすることで腰に常時注意が集中し治りを遅らせている」という可能性もあります。
コルセットに関しても、やはり「自分に合うか合わないか」が選択の基準になりますね。