痛みに関する脳領域(pain matrix:ペインマトリックス)その3

その3

◆島皮質(insula)

・外側溝(シルヴィウス溝:側頭葉と頭頂葉の境界線)の中に位置する

・成人では脳表面から見えない

・痛み時の嫌悪感を発生させる領域

・否定的感情に共通して関与する領域

・第Ⅴ層(内錐体細胞層)が発達している

・第Ⅳ層(内顆粒層)は無いので、吻側無顆粒島皮質とも呼ばれている

・情動的側面だけでなく、感覚的側面もあることや痛みに強く注意を向けると、より活性化する➡痛みに対する注意の度合いによって、痛みが変調する領域

・前部と後部に分けられる

【前部】

・視床の内側腹側核基部からの入力を受けている➡嗅覚・味覚・内臓自律神経などの機能に関わっている

【島皮質吻側部(前方)(anterior insula)】

・主観的な痛みの感受性や耐性に影響

・痛みの予測や、身体と物体との接触の予期の際にも働く

・メンタル・アロディニア(mental allodynia)への関与?

※メンタル・アロディニア・・・「運動イメージに伴う痛み」

脊髄損傷後(胸髄レベルの完全麻痺:ASIA A)の神経因性疼痛症例に対して、右足関節を底背屈させる運動イメージ(運動イメージしやすいように車のアクセル音を聞かす)を行うと痛みが広範囲に生じることがGustinらにより報告されている。

・慢性痛における自発痛に関与

【後部】

S2と視床から主要な入力を受けている。

偏桃体と相互連絡がある➡痛みの内側系、外側系の中間に位置する領域

【島皮質尾側部(posterior insula)(後方)】

侵害刺激に対応した急性痛に関与

【後方➡感覚的側面、前方に向かうに従い情動的、認知的側面に関与】

初期侵害表像

恒常性の維持、運動機能(視床下部と偏桃体との連結)

外部環境の認知(嗅内皮質と側頭葉との連結)

快・不快の査定(側坐核と眼窩前頭皮質との連結)

意欲的、社会的、認知的な状況の統合(前帯状回、腹内側・背外側前頭前野との連結)

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