中枢伝達の経路
Fileその9【中枢伝達の経路】
・外側系(lateral system)と内側系(medial system)がある
・痛覚の伝導路は、後根繊維が脊髄に入った高さの後角でシナプスを変える➡脊髄ニューロンの軸索繊維が正中線を横切る➡対側の白質にある前側索を上行
※触覚の伝導路は、同側の後索を上行し延髄の後索核でシナプスを変える➡後索核ニューロンの軸索繊維が正中線を横切る
【ブラウン・セカール症候群】
脊髄の障害は半側にだけ生じた場合、触覚と痛覚の障害が出現する身体の領域が異なる。
(例)左の脊髄だけが損傷した場合は➡触覚の障害は左半身に出現、痛覚の障害は右半身に出現
【脊髄視床路】
・対側の前側索から視床に向かうルート
・脳幹レベルで「外側」と「内側」にわかれる
脳幹・・・延髄・橋・中脳の3つで構成される
【新脊髄視床路:外側脊髄視床路(外側の経路)】
・脊髄後角の第Ⅰ~第Ⅴ層からのニューロン
・視床の外測核群(腹側基底核群、別名:後腹側核)に終わる伝導路
・そこから➡後外側腹側核、後内側腹側核を経由➡大脳皮質の中心後回の体性感覚野(一次体性感覚野、二次体性感覚野)に送られる
・一次痛の経路
・痛みの局在部位、強度、質などの識別的評価(感覚-識別)を行う伝導路
・痛みの感覚的側面を伝える
【旧脊髄視床路(内側の経路)】
・脊髄後角第Ⅵ~第Ⅷ層
・脳幹網様体に多くの側枝を伸ばしながら視床に向かう
※網様体・・・核のようにはニューロンが密集せずに散在する領域
・視床に至るまでに、内側脊髄視床路や脊髄網様体路となる
・視床の内側核群(髄版内核の外側中心核、束旁核など)を経由➡大脳辺縁系(島皮質、前帯状回、偏桃体、海馬・・)に送られる
・二次痛の経路
・身体にとっての「痛みの意味」や「情動」「認知」の情報の伝導路
・痛みに伴うイライラ感、不安や恐怖感などの不快な感情を引き起こす
・痛みの情動的側面を伝える
痛みを伝えるルートはその他、脊髄結合腕旁核路、脊髄中脳路などがある。