オーバートレーニング症候群【UG版】オーバーリーチングとオーバートレーニング
こんにちは。
かねた整骨院の金田です。
かねた整骨院のブログへようこそ。
陸上・柔道・バスケットボール・卓球・空手・バドミントンなど、スポーツを行っている小・中・高校生のお子さんたちとそのご家族から、
- どんな治療をうけても痛みが治らない
- 練習を休んでも疲れが取れない
- 練習やトレーニングを頑張ってるけどパフォーマンスが落ちていく
という症状や状態の相談を受けることがとても多いです。
お話を聞き、施術を進める中で、上記のような症状や状態で悩んでいる子どもたちに対して私が思うのは「オーバートレーニング症候群なんじゃないかなぁ」です。
競技が上手くなる・強くなるためには、練習とトレーニングは必須ですが、オーバートレーニングになっては元も子もありません。
今回は、以前書いたオーバートレーニング症候群の内容に、オーバーリーチングなどの説明を追記し、アップグレード(UG)版として再投稿します。
トレーニングとは
スポーツを行っている人たちにとってのトレーニングとは、元々からだに備わっている、加えられた刺激や環境に適応しようとする力を活用し、「適切な強度の負荷」と「十分な回復」を組み合わせ、それぞれが行っている競技のパフォーマンスを向上さようとする行為になります。
トレーニング手段には、戦術・技術・体力・メンタルそれぞれのトレーニングがあり、筋力・持久力・柔軟性・ファンクショナル(機能)・コーディネーション(調整)などのトレーニングは、体力トレーニングの方法になります。
トレーニングによって得られる状態は、負荷と回復の程度により異なります。
オーバーリーチング
オーバーリーチングは、「十分な回復期間がない状態で行う、個人の能力を超えた短期的なトレーニングを意味するもの」と定義されています。
トレーニングによって得られる状態は、負荷と回復の程度により異なりますが、回復に必要とする期間の短いものから説明すると、
低負荷(アンダートレーニング)
個人にとって、負荷が低すぎるトレーニングです。
回復に必要な期間は、数日もしくは必要ないですが、パフォーマンスの向上はないか、あってもわずかになります。
適正なトレーニング(急性一過性の疲労)
適正水準のトレーニングです。
回復に必要な期間は数日必要ですが、パフォーマンスは向上します。
機能的オーバーリーチング
過重なトレーニング(+回復不足)になりますが、いわゆる「超回復」に関係するトレーニングです。
回復には数日~数週間かかり、一時的にパフォーマンスが低下しますが、回復した後はパフォーマンスは向上します(超回復)
非機能的オーバーリーチング
過重なトレーニング(+回復不足)です。
回復には数週間から数か月かかり、パフォーマンスは停滞もしくは低下します。
心や体に出現する様々な症状の影響で練習できる日が失われます。
オーバートレーニング症候群
過重なトレーニング(+回復不足)です。
回復には数か月以上かかり、パフォーマンスは低下します。
心や体に出現する様々な症状の影響で、選手生命(競技生命)が消失する可能性が高くなります。
になります。
オーバートレーニング症候群とは
オーバートレーニング症候群は、過度なトレーニング負荷や過度な練習に対して回復が追い付かない状況が続くことで慢性的な疲労状態となり競技力が低下し、短期間では回復できなくなった状態をいいます。
オーバートレーニング症候群かどうかを調べる方法としては、他の原因となる病気(疾患)の除外(必須)、内分泌系の変化(下垂体前葉・副腎皮質・性腺・甲状腺ホルモン)心理評価表、運動機能検査、心拍変動解析により推定される自律神経活動、免疫学的パラメーターなどがありますが、ハッキリとした診断指標は確立されていません。
オーバートレーニング症候群の症状
オーバートレーニング症候群でみられる症状は、
◆疲労症状
- 筋肉、腱、関節の痛みや疲労
- 痛みや疲労がとれない
- 競技パフォーマンスの低下
- すぐに息が上がる
- 疲れやすくなった
- 筋力低下
- 食欲不振
- 体重減少
◆精神・心理症状
- モチベーション低下
- 抑うつ気分
- 不安、焦り、イライラ
- 注意力低下
- 不眠
- 集中力低下
◆自律神経機能異常
- めまい
- たちくらみ
- 胸部不快感
- 便秘、下痢、腹痛
- 睡眠障害(不眠や過眠)
- 起床時の心拍数変化(増加や減少)
◆免疫機能低下
- 風邪を引きやすい
- 口内炎
- 口唇ヘルペス
などなど、色々な症状が出現すると言われていますが、1部分しか出現しないこともあると言われています。
ここで注意しなければいけないのは、上記のような症状が出たからと言って、すぐにオーバートレーニング症候群だと決めつけないことです。
まずは、他の原因となる病気、例えば、脳の病気、貧血、うつ病、癌などを除外することが大事です。
他の病気がない場合はオーバートレーニング症候群の可能性を疑い、早期に練習やトレーニングの見直しを行ってください。
治療
オーバートレーニング症候群は、負荷と回復のバランスが崩れてしまった状態になりますので、治療の基本は、
- トレーニングや練習を休む
- 栄養(食事)と睡眠の確保
だと言われています。
心のダメージが大きい場合は、必要に応じてカウンセリングなどをうけることも治療になります。
ただ、オーバートレーニング症候群になってしまった場合、治るまで時間がかかるので予防が大事になってきます。
予防
予防には3つのポイントがあるといわれています。
子ども(競技者)が主体的に行うことが大事ですが、家族のサポートは必要です。
ポイント1 意識して、体と心、両方の回復を行う
体と心の回復にとって重要なのは「食事(栄養)」と「睡眠」になります。
部活やクラブ練習が遅く終わったり、宿題があったりと、忙しいスケジュールの中でも、栄養バランスとカロリーを考慮した食事をして、スマホを控えて早めに寝るのが大事です。
ポイント2 コンディションのチェックをする
疲れや痛み、体調の変化など、自分の体と心の状態(コンディション)を把握することが大事です。
セルフチェックの項目としては
- 身体的な疲れ
- 意欲(やる気・精神的な疲れ・モチベーション)
- トレーニング前の疲労感
- 睡眠
- 食欲
- 排便状況
- 体重
- 月経
- 起床時の心拍数(回数/分)
があります。
疲れの度合いはなかなか自覚しにくいものですが、体調が悪いときや疲れているときは、自律神経のバランスが乱れ普段より心拍数(脈拍)が高くなることが多いので、起床時や安静時の心拍数のチェックは、自分のコンディションを把握する簡単な目安になります。
起床時、もしくは安静時(横になるか座るかで5分以上安静)にした状態で測った心拍数が基本の数値となります。
一般的には、59拍/分以下はアスリートレベル、60~80拍/分は一般人、81拍/分以上は運動不足か体調不良だといわれています。
しかし、脈拍にも個人差がありますので、毎日測って自分の平均を把握しておきましょう。
起床時や安静時の心拍数が、自分の平均より5拍以上高ければ要注意、10拍以上であれば体調不良の可能性があると言われています。
ポイント3 その日の状態に合わせたトレーニング負荷の設定
トレーニングの目的はあくまでも競技力(スポーツパフォーマンス)の向上であって、トレーニングをこなすことではありません。
自分のその日のコンディションに合わせて、トレーニングの質や量を調整することが大切です。
部活動やクラブチームなど、集団での練習やトレーニングを行う中では難しいとは思いますが、自分のコンディションを監督やコーチに伝え、別メニューでの練習やトレーニングを設定してもらう努力は必要です。
まとめ
要点のまとめですが、オーバートレーニング症候群は、
- トレーニングや練習による負荷と回復のバランスが崩れてしまった状態
- オーバートレーニング症候群になると治るまで時間がかかる
- 予防がとても大事
です。
競技力の向上には、繰り返しのトレーニングと練習は必要不可欠ですし、ときには高負荷のトレーニングが必要な場面もありますが、それと同等に「回復させること」が大事になります。
練習やトレーニングの目的は、好きで始めた、興味があって始めたスポーツの競技力(スポーツパフォーマンス)の向上であって、トレーニングをこなすことではありません。
目的を見失わず、もし、今、オーバートレーニング症候群が疑われるなら、コンディションをチェックして回復に努めてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。