姿勢が維持できるようになると記憶学習能力が高まり出来ることが増える
前頭前野はモチベーションや感情、短期記憶などに関係し非常に注目されているところですが、セロトニンとノルアドレナリンのターゲットになっている場所でもある。前頭前野の活動は脳全体の活動をある程度表わすと言われています。その前頭前野の活性化には、脳幹網様態賦活系が重要と考えられます。「感覚入力→脳幹網様態→視床→大脳皮質」というように、まずは身体の末梢からの感覚入力が関係します。高い運動能力を発揮するのはスポーツ選手にとって大事ですし、記憶学習を高めるのも人間として大事です。それを高めるのに、姿勢を維持するのと同じ機構が働いている可能性がある。これは非常に興味深いことです。
と、征矢英昭先生は、姿勢の維持と記憶学習を高めることについてお話しされています。
脳の覚醒は、脳幹と、脳幹に入っている感覚入力(皮膚や筋肉、関節など末梢からの入力)を受けて、脳幹が脳全体に影響を及ぼしている。この脳幹網様態を活性化させる、脳を覚醒させる系を網様態賦活系といいます。
姿勢の維持に関与している脳幹、視床下部、小脳について「養生ではなにができそうか?」の個人的な考えは以前ブログに書いたので興味のある方は読んで頂ければと思いますが、今回ここで僕が言いたいのは、「姿勢の維持が出来るようになっているということは、記憶学習能力が高まっている。つまり、今まで出来なかったことが、出来るようになる準備が整っている可能性がある」と言うことです。
まとめますと、
末梢(からだ)からの入力により脳がラクになる
↓
姿勢が維持できるようになる
↓↑
記憶学習能力が高まる
その結果、できることが増える。
となります。
これは科学上では可能性という表現になりますが、実際に身体の調子が整うことで脳がラクになり、パフォーマンスがあがり社会で活躍されている方は沢山いらっしゃいます。
神経発達障害でも、腰痛など痛みで不自由な思いをしていても、ありのままでは社会で生きていけませんし、できることが増えないと仕事になりません。
発達障害は「神経発達の障害」なので「神経を育て直すこと」が、子どもたちの発達の近道になります。
腰痛も痛みは脳で処理されますし、慢性的腰痛(慢性痛症)は中枢神経の可塑的変容により「痛みが歪んでしまった」状態と言われています。
これまでの経験上「神経を育て直すこと」は痛みにも実効性があると感じています。
子どもたちの発達にも腰痛にも「身体育て」という考え方を取り入れ、皮膚や筋肉、関節など末梢から刺激をいれて脳幹網様態を活性化させることが大事です。