痛みに関する脳領域(pain matrix:ペインマトリックス)その6
その6
【前頭前野(PF:prefrontal cortex)】
◆前頭前野(PF:prefrontal cortex)
・痛みの統合的な(情動・認知・記憶)な側面に関与
・急性痛より、特に慢性痛で関与
・長期的情動要素に関与
・外側部・内側部・眼窩野に分けられる
・中脳中心灰白質:PAG(中脳水道周囲灰白質)とともに、広汎性侵害抑制調節(DNIC)に関与
・下行性疼痛抑制系(調節系)に関与
・プラセボ鎮痛に関与
【外側部】
・注意機能(認知プロセス)やワーキングメモリに関与
・急性痛に関与
・痛みによって活性化
・活動の増加➡痛みに対して注意が向けられている
【内側部】
・眼窩野とともに、情動の抑制に関与
・萎縮して活動が減少➡情動の抑制が困難になったり、低下する
・慢性痛に関与
・前帯状回や偏桃体から「情動的」な入力を受ける➡入力により情報過多になることで、働きを制御できない状態になる
【眼窩野】
・情動や報酬系に関与
・痛みの認知的側面を担う「最重要領域」
・背内側視床、側頭皮質、腹側被蓋野、嗅覚系、偏桃体から直接入力をうける
・すべての外界環境情報を脳内に再現し、それに基づいて生物学的な行動戦略を形成することに関与。
・帯状回、海馬、側頭皮質、外側視床下部、扁桃体に出力➡行動的、生理的反応を引き起こすことを許可。
・外側部と内側部は、お互いに抑制の関係
【構造・機能(細分化)】
・主溝➡ワーキングメモリ機能に関与
・眼窩野➡情動反応・社会行動に関与
・下膨隆部➡問題解決・抑制に関与
・弓状領域➡視野刺激に応答