急性痛と慢性痛の違い
file18【急性痛と慢性痛の違い】
【急性痛(acute pain)】
・時間や期間的な側面からみると、罹患してからそれが治るまでの痛みのことを言う。
つまり、「末梢神経先端部の侵害受容器が興奮(脱分極)し、発生した痛み信号が脊髄を通り、脳に伝えられ脳が情報を読み取ってはじめて感じる痛み」のこと。
・身体の異常を知らせる「警告信号」の役割をする
・「症状」としての痛み
【慢性痛(chronic pain)】
急性痛は、末梢神経先端部の侵害受容器が興奮(脱分極)し、発生した痛み信号が脊髄を通り、脳に伝えられ脳が情報を読み取ってはじめて感じる痛み。
この痛みとは別に「昔から痛い」とか「何年も前から痛い」など、いわゆる慢性痛がある 慢性痛は、今までは単純に急性痛が3ヵ月~6ヵ月など期間的に長期化した痛みとされてきたが、1980年代半ば、急性痛の仕組みが解明されてきたことによって、急性痛の仕組みでは説明ができない痛みがあることがわかった。
・痛みの研究が進むにつれこの痛みは、痛み信号が中枢神経(脳・脊髄)に繰り返し入力されることなどにより起こる、※痛覚神経系の可塑的変容(痛みの歪み)が原因で起こる事がわかった
つまり、慢性痛と呼ばれる痛みには
1、単純に急性痛が長期化しているだけの慢性痛
2、中枢神経系の可塑的変容(痛みの歪み)で起こっている慢性痛
の2種類があるということ
・中枢神経系の可塑的変容で起こる慢性痛は「痛み」という“症状そのものが病気”
・単純に急性痛が長期化している慢性痛と区別して、「慢性痛症」と呼ばれることもある
追記【可塑的変容(可塑性:痛みの歪み)】について
※痛みは、侵害受容器が痛み刺激で興奮し、そこで発生した痛み信号が脳に伝えられて「痛い」と感じるので、痛み刺激がなくなれば痛みは発生しない。
痛み系が正常に働いている場合は、ゴムボールのように外から刺激を加えても元に戻る事ができる。けど、強い痛みが続いたり、神経そのものが傷ついたりすると、痛み系は手などで押してへこませた粘土の塊のように、元に戻れなくなってしまう。
“この粘土のような性質を可塑性と言う”
痛み系の可塑性によって“痛みは歪む”
これを知らないから、医療や代替医療(民間療法)を提供する方もされる方も混乱するのよね。