腰痛の原因

【腰痛の原因】
ガイドラインを参考にすると、命を脅かす恐れがある病変(例えば悪性腫瘍や感染症、馬尾症候群など)が腰の痛みの原因(red flags:全腰痛患者に占める割合1〜5%)になっていないことがわかれば、あとは(95〜99%)自己限定性疾患(green light)によるもの。
そのgreen lightの10%未満が神経根症状、90%以上が非特異的腰痛っていわれている。
日本では全腰痛の15%が診断のつく腰痛(例えばヘルニアとか)で、残り85%以上が原因不明ってことになってる。
ヘルニアなんかが腰痛の原因ってのはどんどん否定されてるんだから、そんなに頑なにならないでred flagsがなければ原因不明でいいと思うが。
とりあえず今回もエビデンスをちょこっと見てみることにする。
◆腰痛の原因はいまだに謎だが、椎間板変性を腰痛の原因と考える脊椎外科医は23%のみで、その患者に固定術か椎間板置換術を選択すると答えた脊椎外科医はわずか1%しかいない。もし自分が患者なら99%が保存療法か放置すると回答。http://1.usa.gov/katDsM
いやいや、そんな回答しちゃダメだろう(笑)
◆腰痛患者378名と健常者217名の腰部X線写真を比較した研究でも、両群間における変形性脊椎症の検出率に差はなく、加齢と共に増加する傾向が見られることから、変形は正常な老化現象にすぎず、腰痛の原因とは考えられないと結論。http://1.usa.gov/msMFAV
◆60歳の一般住民666名を対象に胸椎と腰椎のX線写真を分析した結果、腰痛経験者の58.7%に、未経験者の57.5%に変形性脊椎症が確認されたが、両群間の検出率に差はなかった。老化よる脊椎の変形は腰痛の原因ではない。http://1.usa.gov/kLY3o9
「年だから」は通用しないってことね。
◆21~80歳までの腰痛未経験者52名を対象にCATスキャンで腰部椎間板を分析した結果、年齢に関わらず35.4%に何らかの異常が検出され、40歳未満の19.5%に、40歳以上の26.9%に無症候性椎間板ヘルニアが確認。http://1.usa.gov/mBTclS
◆椎間板ヘルニアと診断された強い腰下肢痛を訴える患者46名と、年齢、性別、職業などを一致させた健常者46名の腰部椎間板をMRIで比較した結果、健常者の76%に椎間板ヘルニアが、85%に椎間板変性が確認された。http://1.usa.gov/iN3oKG【ボルボ賞受賞!!】
◆18~50歳までの腰痛患者807名と健常者936名を対象に、腰部X線撮影で脊椎分離症の検出率を比較した結果、腰痛患者群は9.2%、健常者群は9.7%だった。脊椎分離症が腰下肢痛の原因と考えるのは非論理的。http://1.usa.gov/j2Jw5a
◆発症後1年以内の腰痛患者144名と健常者138名を対象に、骨盤の歪みを厳密に測定して腰痛との関連を調べた研究により、どのような臨床的意義においても、骨盤の非対称性(歪み)と腰痛とは関連していないことが証明されている。http://1.usa.gov/kIBHZm
キーはやっぱりyellow flagsだな。
神経生理学的に考えると、炎症が落ち着いていれば、血流の障害による発痛物質濃度が高い状態だから痛ってことになる(慢性痛の場合は可塑的変容も視野にいれなければいけないけど。)
原因不明とか言わないでyellow flagsに気を付けて、血流を改善させる何かをしてあげればいいってことだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です