すべり症
その9【すべり症】
すべり症「子供の時にはすべるけど、大人になるとすべらない」という事実がある。
すべり症で言う子供と大人と言うのは、実際の年齢ではなく「骨の年齢」のこと。
骨の発育期は
・Cartilaginous stage(C stage)
・Apophyseal stage(A stage)
・Epiphyseal stage(E stage)
の3期に分かれている。
骨年齢で見た最初の時期(C stage)で分離症が治らないと8割がすべる、次の時期(A stage)では1割がすべる、けどE stageになるとすべらない。
つまり「子供でも大人の骨になっていればすべる心配は無い」と言うことだな。
成長期、椎骨(背骨)の上下にこれから骨になろうとしている層があり、その層のことを2次骨化核といって成長軟骨で板のように並んでいる。
どうやらすべる時はその成長軟骨板ですべるらしい。
すべるというけど、実際は成長軟骨板の疲労骨折。
同じ年齢、同じ部活動をしていてもすべるかすべらないかは ・分離症になっているか ・骨の年齢はどうなっているか によって異なるらしい。
例えば
「Aさん女性、年齢は16歳、小中と部活でバスケットボールをやっていた。高校でもバスケットを続けている。これまで腰痛の経験なし。今回生まれて初めて腰痛が出たのでMRIを撮ったらすべり症と言われた。」
となった場合は、もうすでに分離症が発症していたことになる。
でもその分離症はいつ起こったのかは誰にもわからないよね。
だって今初めて痛くなったんだからMRIなんて当然撮ったことないだろうし。
しかもE stageだったら、すべり症にもいつなったかはわからない。
ヘルニアでも分離症でもすべり症でも、「器質的変化がある=必ず痛い」とはならない。
分離しててもすべってても「痛くない人」はたくさんいる。
面白いことに分離症すべり症研究で有名な西良浩一先生のサイトや僕が持ってる雑誌記事には、「すべり症になるとなぜ痛むのか?」が詳しく載っていない。
「分離症ですべり症が併発する場合、椎間板性の腰痛も考慮する必要がある」となっているだけだ。
椎間板性の腰痛っていうのは椎間板が変性してたりヘルニアだったりということ。
もう色んなところで否定されてる腰痛の原因だよね。
すべり症にならないためには分離症を早期に発見し安静固定する必要があるけど、骨がくっついても再発している人がたくさんいる。
親としては分離したりすべったりしたままだと子供の将来(腰痛)がすごく心配になるけど、結局のところどうするかはその子次第になる。
離断性骨軟骨炎みたいに調子が悪いのは子供。
決して親が調子悪いんじゃない。
だから、子供が困らないように、しっかり意思決定できるような環境を大人が整えていかなければいけない。
ちょろっとネットみたり、人の噂話聞いたりして、それで決めるのは子供がかわいそうだ。