変形性膝関節症
こんにちは。
かねた整骨院の金田です。
今回は、関節軟骨の変性摩耗と、骨や滑膜など関節を構成する部分に次々と起こる増殖性変性(不要な部分に骨が出来てしまったり滑膜が増殖したりなど)を特徴とする退行変性疾患が特徴の変形性関節症(OA)でも代表的な変形性膝関節症について書きます。
変形性膝関節症とは
慢性疼痛診療ガイドラインには、
「痛みや日常生活動作(ADL)の制限をきたす膝関節の退行変性疾患である。有病率は極めて高く、中高齢者の生活の質(QOL)を脅かす重大な疾患である。治療においては痛みやこわばりなどの症状緩和と身体機能の向上を目指す。」
と書かれています。
退行変性疾患というのは、加齢や局所の力学的負荷に起因した痛みや関節の機能低下により日常生活に支障をきたす疾患のことになります。
原因
変形性膝関節症のような変形性関節症は、
- 一次性(原発性)変形性関節症(発症の原因となる基礎疾患が不明なもの)
- 二次性(続発性)変形性関節症(基盤となる疾患があるもの)
に分類されています。
ほとんどの方は原因不明の一次性変形性関節症になります。
二次性変形性関節症の例としては、
- 外傷(怪我)
- 炎症性疾患(関節リウマチなど)
- 代謝性疾患
があります。
発症の要因
発症の要因としては
- 加齢(加齢に伴い増加)
- 肥満(太っているほど膝に負担がかかる)
- 性別(変形性膝関節症は女性に多く、60歳以上では男性の約1.5~2倍の有病率になることが分かっています)
- 遺伝的要因(変形性関節症の30-65%は遺伝的な関与があるとされているが詳細は不明)
- 関節の不安定性(靭帯損傷などで関節が不安定)
- 筋力不足(膝を支える筋力が足りない)
- 過度の力学的ストレス(仕事やスポーツなど)
などが挙げられています。
症状
症状としては、
◆初期
- 関節の軽い痛み
- 違和感
- こわばり
- 安静時には症状はない
- 関節を動かす時にだけ痛い
◆病状が進むと
- 運動時や荷重時の痛みが強くなる
- ゴリっと鳴るような関節の異音
- 運動後もしばらく続く痛みが続く
- 夜間痛(寝てても痛む)
- 関節液の貯留に伴う関節腫脹(水がたまる)
◆さらに病状が進むと
- 骨と骨の隙間の消失や骨棘形成(関節周囲にできる不要な骨)の影響を受けて関節が変形
- 膝関節が動く範囲が狭くなる
- 膝の動きが悪くなる
が一般的です。
治療
慢性疼痛診療ガイドラインには、
「診断は、臨床症状と単純X線画像所見によってなされる。(途中省略)・・・現在、明らかな疾患修復作用を有するOA治療薬は存在しないため、治療においては痛みやこわばりなどの症状緩和と身体機能の向上を目標とする。X線画像解析による病期は症状と関連しないことが多く、治療方針は画像所見以外に、症状や機能障害の程度、年齢や活動性、さらには患者のライフスタイルや価値観も勘案して総合的に判断することが望ましい。変形性膝関節症の治療はどの時期であっても保存的治療をまずおこなうことが推奨されている。」
と書かれています。
そして保存的治療法でまず行うべきは
- 患者教育(自分の状態を把握する)
- 運動療法(筋トレ・有酸素運動・関節可動域トレーニングなど)
- 体重過多患者に対する減量
となっています。
その他、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服/外用薬や注射(ヒアルロン酸)などの薬物療法や、保尊的治療法がどうしてもダメな場合は手術療法とも書かれています。
ヒアルロン酸関節内注射は効果があるの?
これも、慢性疼痛診療ガイドラインに書かれています。
色々はしょりますが、「鎮痛およびADL改善効果に関してわずかに有効な可能性がある」としたうえで、「ヒアルロン酸関節内注射継続の有用性には不明な点が多く、効果が乏しい場合には漫然とした長期的投与にならないよう注意を要する」とされています。
グルコサミンとコンドロイチンは効くの?
これも、色々はしょりますが「有用性は低い(ない)」とされています。
整骨院や整体で治りますか?
世の中には、どんな痛みも1回で治せる柔道整復師や整体師がいるみたいですが、僕にはそんな力はありませんので、かねた整骨院では「症状緩和と身体機能向上のお手伝い」をさせてもらっています。
基本的には、患者さん自身でのセルフマネジメント(自己管理)とセルフケアが大事だと考えていますので、そのサポートになります。
具体的には
- 患者さんに自身の状態をしっかり把握してもらう
- 運動療法などの指導
- セルフケアの指導
- 徒手療法での施術
になります。
基本的に変形性関節症は非炎症性疾患なので、検査で他の病気による炎症が見当たらなければ、関節の血流やリンパの流れを改善させることは大事だと考えています。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。