神経痛は整骨院や整体で治りますか?
こんにちは。
かねた整骨院の金田です。
・お尻からすねの外側や足指までしびれや痛みなどがある
・腕にしびれや痛みなどがある
というような症状があるので、医療機関で検査を受けたら神経痛だと言われたけど、どうしたらいいですか?治りますか?という相談を受けることが多いです。
今回は、
・神経痛とは何なのか
・整骨院や整体で治るのか
を書きます。
神経痛とは
神経痛の正式名称は「神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)」です。
国際疼痛学会は、2008年に「体性感覚神経系の病変や疾患によって引き起こされる疼痛」と定義しました。
体性神経系を説明しますと、私たちの神経は、脳と脊髄の中枢神経と末梢神経に分かれています。
- 末梢神経は、自律神経系と体性神経系
- 体性神経系は、運動神経系と感覚神経系
からなっています。
運動神経は、筋肉を動かす神経で、感覚神経は、痛みだけではなく、温かい冷たいといった温度覚、触れている触覚や、深部感覚という、手や足などを含めた自分の身体の位置がどこにあるのかという感覚です。
神経痛(神経障害性疼痛)というのは、この末梢神経の体性神経の感覚神経系の痛みということです。
デルマトーム
末梢神経には「それぞれの神経がどの部分の体の皮膚の感覚を支配しているのか」が決まっていて、下の図はデルマトーム(皮膚分節知覚帯)と呼ばれています。
このデルマトームに合わせて、
- 痛み
- 感覚の異常
- 運動麻痺
などがあるかどうかを確認することが重要になります。
※感覚の異常とは
- 触られてもあまり感じない感覚が鈍い
- 氷をあてられても感じない、逆にものすごく冷たく感じる
- 爪楊枝でつつかれても感じない、逆にものすごく痛く感じる
などどいったものです
神経痛(神経障害性疼痛)診断の流れ
国際疼痛学会(IASP)では、
- 病歴聴取
- 神経学的診察
- 確認検査
を段階的に行い、神経障害性疼痛かどうかの診断を進めることを推奨しています。
病歴の確認(病歴聴取)というのは、例えば、過去に事故か何かで神経がダメージを受けたことがあるか?と、さきほどの神経が担当している範囲に痛みがあるかの確認になります。
ここに該当した場合、神経痛(神経障害性疼痛)である確率は30%~50%だと言われています。
病歴に当てはまっていたら、つぎに、神経学的診断をします。
神経が担当している範囲に「感覚の異常(障害)」があるかの確認を行い、該当したら確率は70%~80%に上がります。
最後に確認の検査をします。
確認の検査は、MRI、CTといった画像検査と神経伝導検査などを行います。
ここで確認が取れたら90%~の確率で神経障害性疼痛だと判断されます。
日本では、「一番初めに画像検査(レントゲンやMRI)をして診断」が一般的ですがそれは間違いです。
画像検査は一番最後の確認検査の際、神経伝導検査などと一緒に行うことが重要です。
その症状は本当に神経痛なのか
例えば、「病院でMRI検査をしたら首の5番目(C5)の神経が圧迫されているのが原因」と言われたら、図のC5の範囲に
- 痛み
- 温かい冷たいといった温度覚の異常
- 触れている触覚の異常
- 運動麻痺
などの自覚症状があり、「病歴、神経学的診断、確認検査」を行い確認が取れた場合は、神経障害性疼痛(神経痛)になります。
それ以外は神経障害性疼痛である可能性はかなり低いです。
筋肉が原因である可能性
では、痛みやしびれがあるけど神経障害性疼痛である可能性がかなり低い場合、原因はどこなのでしょうか。
痛みのメカニズムに基づいて考えると
- 筋肉(トリガーポイント・関連痛)※侵害受容性疼痛
- 慢性疼痛(脳など痛みシステムのエラー)※神経障害性疼痛も慢性疼痛
が考えられます。
整骨院や整体で治るのか
症状が神経障害性疼痛(本当の神経痛)であった場合、整骨院や整体では治せませんが、徒手療法等で一時的にでも症状が緩和されるのであれば、医師と相談の上、活用するのはありだと考えています。
神経障害性疼痛ではないものの、脳を含めた痛みシステムの不具合が関係している慢性疼痛であった場合も、整骨院や整体で治す!という意識より、症状改善に向けて活用するほうがいいと考えています。
慢性疼痛の場合は鎮痛(治す)が主目的ではなくなってしまいます。それだけ治すのが難しい痛みなのです。
治療としては、心理療法や運動療法、患者教育などがメインとなりますが、揉んだり温めたりすることで、一時的にでも症状が和らぎ、QOLやADLの改善につながるのであれば、整骨院や整体を活用するのは良い方法だと思います。
筋肉が原因(神経痛もどき)の場合は、整骨院や整体で治る可能性が高いです。
でも、整骨院や整体に行って電気をかけたり揉まれたりだけでなく、自らも
- 食事
- 運動
- 睡眠
- ストレス
などを含めた生活習慣の見直しを行い、マネジメントすることが大切です。
秋田県内で慢性疼痛の集学的治療を受けられるのは秋田大学医学部付属病院だけとなっていますが、かねた整骨院でも、少しでも慢性疼痛でお悩みの方の力になれればと思い、施術相談や痛みのお話し、徒手療法などの慢性疼痛施術を行っていますので、お気軽にご相談ください。