慢性痛治療の目的
こんにちは。
金田です。
今回は、「慢性痛治療の目的」について書きます。
慢性痛とは
国際疼痛学会(IASP)では、慢性痛(慢性疼痛)を「疾患の治療に要すると期待される期間を超えて持続する痛み」と定義しています。
この「疾患の治療に要すると期待される期間」にかんしては明確な基準はありませんが、一般的には「3ヶ月以上続く痛み」とされています。
慢性疼痛には、癌性の痛みやリウマチでの痛みなども含まれていますが、このブログをご覧の方は腰痛や肩こりなどでお悩みの方が多いと思いますので、ちょっと説明させてもらいます。
例えば、「何をやっても治らない、全く変わらない腰痛」が難治性疼痛、「揉んでもらえば数日は楽だけど、やっぱり肩がこる」「腰が痛くなる⇔治るを繰り返す」が、急性痛を繰り返す、遷延化した慢性痛だと思ってください。
生活の質
痛みがあると、その痛みのせいで仕事ができなくなったり、時には職を失うことで社会活動性が低下してしまうことがあります。
そうすると、それがキッカケとなり経済的なストレスを抱え、家庭で居場所がなくなったり存在感が低下することで、自己否定したり自己価値観が低下することが考えられます。
その結果、痛みで悩んでいる方の「生活の質(QOL)」が低下したり、生活そのものに障害をきたすという悪循環に陥ることがあります。
これには、「破局的思考」が関与していることがとても多いです。
破局的思考がどのように影響するのかはこちらの記事を参考にしてください
日常生活動作
生活の質にも関与している破局的思考の影響により、防御的な行動や予防的な行動が癖となり、その影響で筋力や体力の低下が起こることが考えられます。
その結果、普通にできていた日常生活動作(ADL)の低下が引き起こされることで、生活の質同様、悪循環に陥ることがあります。
慢性痛治療の目的
痛みがしんどいと、誰でも「痛みをゼロにしたい」と思うはずです。
ですが、今のところ、慢性痛(慢性疼痛)をゼロにする治療法は確立されていません。
痛みを無くしたり軽減したりするのは、治療の最終目標の1つではありますが、第1目標ではありません。
慢性痛治療の目的は、生活の質と日常生活動作の向上になります。
民間療法を提供する施術者側は医療と連携しながら、患者さんの痛みの管理をサポートすることで、患者さんの生活の質と日常生活動作が向上していくことが大事ですね。
患者さん側は、痛みをゼロにすることは困難であるという現実を受け入れ、痛みをセルフコントロールしながら、これまで通りの生活に近づけていくことが大切です。