慢性化している方ほど、動かせる範囲で動かすようにすることをおススメします
腰でも肩でも、動かすと痛いから動かさない・動かしたくないという気持ちは理解できますが、そうしていることで、もっと酷くなることがあります。
筋肉には筋紡錘(きんぼうすい:筋肉が伸ばされる速度や程度を測定する感覚器官で、その情報を脳や脊髄に伝えて運動の調節をしている)やγ(ガンマ)運動神経(筋紡錘の長さを調節したり、痛みの信号が入力されたとき筋肉の反応を引き起こす神経)というのが関与してるため、痛みがあると筋肉は緊張するようにできています。
ちなみに“脚気”の検査で膝がビクッてなるのは筋紡錘の働きです。あとは、熱いヤカンなどを触ったときに「アチっ!!」となり、反射的に手を引っ込めるのはγ運動神経系の働きです。(※耳たぶに手が行くかは、わかりませんw)
痛みがなくなれば筋肉の緊張は弛みますが、痛みがずっとあるとγ運動神経が興奮し続けるため筋肉は緊張しっぱなしになってしまいます。
このように筋緊張が亢進されるとどうなるでしょうか?
◆筋肉が毛細血管を圧迫し血液の流れが悪くなり組織肉がの酸欠が起こる。酸欠が起こると、血管から痛みを伝える化学物質(発痛物質)が遊離産生され、ポリモーダル受容器を刺激する。
◆血流内の痛みを伝える化学物質(発痛物質)の濃度が高まる
◆筋肉が硬くなって動かしにくくなり、痛みがでる
◆関節が動かしにくくなり、痛みがでる
つまり「痛いから動かさない⇔動かさないから痛くなる」という悪循環に陥ってしまいます。
上の図「痛みの悪循環」を説明します。
痛覚受容器(侵害受容器)で発生した電気信号は、痛みを伝える神経線維を通り、脊髄を通過し、脳に到達します。脊髄や脳は、電気信号が入力されると反射的に筋肉や血管を収縮させます。ついでに副腎も収縮させ、それも血管収縮につながります。
痛みは運動神経(体性神経)だけでなく、心身を緊張させる交感神経系にも影響を及ぼし、自律神経のバランスを崩します。骨格筋や内臓の平滑筋の緊張を亢進させ、血液の流れを悪くし、組織の酸素欠乏を引き起こします。その結果、痛みなど不快な症状を悪化させます。
骨折して骨をくっつけなくちゃいけない場合などを除いては、動かさないこと、安静にしていることは必ずしも良い事ではありません。
慢性化している方ほど、自信をもって良く動かすようにしていくことをおススメします。