スポーツ貧血
こんにちは。
金田です。
かねた整骨院のブログへようこそ。
スポーツをしている小中学生の子どもたち(親御さん含め)からの相談を受けると、「痛くなったら治してさっさと練習しろ!」「調子が悪くても練習を休むな!」という、時代遅れの指導者・コーチがまだまだ沢山いることが分かります。
そのような指導者のもとで練習していると、子どもたちがその競技を嫌いになってしまう可能性もありますので、ご家族の方が「痛み」「怪我」「不調」についての知識を学び、しっかりマネジメントをすることが大事だなぁと日々感じています。
今回は、「スポーツ貧血」について書きます。
貧血とは
肺から身体に取り込まれた酸素は、血液中の赤血球の中にある、酸素を運ぶ役割をしているヘモグロビンと結合して、身体の隅々の細胞に運ばれます。
この、赤血球の数が少なくなり、血液中の赤血球の中にある、酸素を運ぶ役割をしているヘモグロビンの濃度が低下している状態のことを貧血と言います。
貧血の種類
貧血には
- 鉄欠乏性貧血(鉄分が不足して起こる)
- 悪性貧血(ビタミンB12や葉酸が不足することで起こる)
- 再生不良性貧血(骨髄で血液を造る能力が低下することで起こる)
- 溶血性貧血(赤血球の寿命よりも赤血球膜が早く壊れて起こる)
- 腎性貧血(赤血球産生の調節因子であるエリスロポエチンが腎障害によって腎臓で生産されなくなることで起きる)
- 老人性貧血(加齢による生体機能低下で起きる)
- 亜鉛や銅などの微量栄養素の不足によって起きる貧血
などがあります。
貧血の中で一番多いのは、鉄欠乏性貧血だと言われています。
スポーツ貧血
一般的に、「スポーツが原因となって起こる貧血」のことをスポーツ貧血と呼んでいて、鉄欠乏性貧血が多いと言われています。
男子よりも、女子スポーツ選手に多いと言われています。
スポーツ貧血では、鉄欠乏性貧血が多いと言われていますが、その原因として
- 鉄摂取不足
- 鉄の吸収不全
- 鉄の喪失
があります。
基本的にスポーツ選手は、激しい運動によって赤血球の破壊が盛んになりますが、偏食や食事バランスの悪さによって、
- 食べ物からの鉄分摂取が絶対的に不足
- タンパク質が不足することで造血が追い付かなくなる
- 相対的な栄養不足
が起こります。
その他、成長期の場合は成長に必要な鉄の需要量の高さも関係しますし、激しい運動によって大量の汗(1時間に2~3L発汗する場合)と、鉄も1~2mg失われると言われています。
女性スポーツ選手では生理による経血が重なる事で貧血になりやすい状態になります。
消化管からの出血が原因になることもありますし、他の病気が関係していることもあります。
また、スポーツ貧血の原因には、「足裏への衝撃による赤血球の破壊(溶血による貧血)」もあると言われています。
この溶血による貧血は、陸上長距離選手や剣道選手に多いと言われています。
症状
貧血の症状は色々ありますが、スポーツ選手の場合
- 急にパフォーマンスが落ちた
- どんどんパフォーマンスが悪くなっていく
- やたら疲れるようになった
- 呼吸も楽だしそんなに疲れてないのに身体が動かなくなる
という症状を自覚する人もいます。
そして
- なんか調子が悪い
- なんか疲れやすい
- なんか集中力がなくなる
- 頭痛がするときがある
- 軽い運動で息切れがする
など日常生活で症状を感じる人もいます。
慢性化している場合は無症状の人もいますので、なにか不調を感じたり、親御さん含めご家族がお子さんの不調を感じたら医療機関を受診し検査を受けてください。
治療
貧血の治療には鉄剤の服用が用いられます。その他、治療の一種として、鉄剤の静脈内注射がありますが、この治療法は、「鉄欠乏性貧血が重症かつ緊急の場合など,経口による鉄剤の投与が困難又は不適当である場合に限って使用されるべき」ものです。スポーツ庁より「不適切な鉄剤の静脈内注射の防止について(依頼)」という通達が出ています。
https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/hakusho/nc/1412652.htm
スポーツ貧血の疑いがある場合、相談に行くのは小中学生なら「しっかり相談に乗ってくれる小児科(医師)」です。
肩書に惑わされず、「腕の良い、しっかり相談に乗ってくれる医師」を頼りましょう。
予防
貧血になったら治療も大事ですが、日々の食事を見直し、鉄分を含め足りない栄養をしっかり補給することが大事です。
スポーツにおける相対的エネルギー不足(RED-S)をご存じでしょうか。
図のように、身体の利用可能エネルギーが不足することで様々な健康問題が引き起こされることが分かっています。
自分に身体に必要な、お子さんの身体に必要な栄養を食事でどう補えばいいかは、専門家に相談するのが一番だと思います。
自分で計算できればそれに越したことはありませんが
- 成長期の場合は成長に必要な鉄の需要量の高さ
- 激しい運動によって大量の汗(1時間に2~3L発汗する場合)と、鉄も1~2mg失われる
- 鉄の排泄
を考えなくてはいけません。
私自身は、食事や栄養関係での悩みは、管理栄養士・公認スポーツ栄養士である、宇佐美佳奈子さんに相談するようにしています。
連絡先は
株式会社タクト
電話018-853-8666
になります。
「かねた整骨院の金田から紹介された」と伝えてもらっても大丈夫です。
最後までお読みいただきありがとうございました。